親の「同一化」について

こんにちは! スポーツメンタルコーチ  増田良子です。

私は、アスリート及びアスリートのお子さんを支える保護者の方々のサポートを行っております。
また、部活動などの団体競技のサポートも発達段階に応じて行っております。

「同一化」、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
ここに辿り着いた方は、少なからず「同一化」について考えたことがあるかもしれません。

お子さんのことを大切に思うからこそ起こってしまうこの現象について、今回はお伝えしたいと思います。

苦しい思いをされている親御さんが楽になるきっかけに、また逆に自覚がない親御さんが、お子さんのためにも気づくきっかけになったら嬉しいです。

目次

「同一化」とは?親が無意識にやってしまう心の現象

「子どもの成長が嬉しい」
「この子には苦労してほしくない」
「できればうまくやってほしい」

こうした気持ちは、どの親にも自然にあるものです。
でもその愛情が強くなりすぎると、知らないうちに「子どもの人生を自分のことのように感じる=同一化」が起きてしまいます。

ここでいう「同一化」は、親が自分自身と子どもを同一視し、子どもの経験や価値観を自分自身のものとして無意識に受け取ってしまう心理状態です。

親子関係では特に、無自覚に強くなりやすいという特徴があります。


親が同一化しやすい心理的背景

同一化しやすいひとは無意識のうちに「子ども=自分の延長」と考えてしまっています。
無意識なので気づいていないひとも多いのです。

「自分が達成してきたことを子どもにも同じように達成させたい」
「自分が達成できなかった夢を子どもに達成させたい(達成してもらいたい)」
「(大好きな大切な子どもだから)傷ついてほしくない」
「(大切な我が子に)成功してほしい」

このように思うことはどれも悪いことではありません。
むしろ、それだけ子どもを大切に想っている証拠です。

でも、「その子の人生」と「自分の理想」が区別できていないとき、知らず知らずのうちに、子どもの人生をコントロールしたくなる状態になっていきます


同一化によって、親に起きること

親が子どもを同一視することで以下のようなことが起こってきます。

  • 子どもの失敗に自分がダメ出しされたような気持ちになる
  • 結果が出ないと焦る、苛立つ
  • 子どもの目標に自分の感情が振り回される
  • 自分のアイデンティティが「親としての役割」一色になってしまう  などなど

特に、スポーツや勉強など明確な成果が伴う場面では、

「うまくいった=自分(親)の努力が報われた」
「うまくいかない=自分(親)の責任」

という感覚に陥りがちです。


子どもに起こる見えにくい弊害

親の同一化は、最初は献身的な応援のように見えるかもしれません。
しかし、それが続くことで、子どもには以下のような大きな影響が出てきます。


1. 自分の感情や欲求がわからなくなる

親の期待や判断が常に優先されると、子どもは

「自分は何がしたいんだろう?」
「これは自分の夢なのか?」

という問いに答えられなくなっていきます。

→ 他人の意見に過剰に頼るようになり、自分で選ぶ力が育ちにくくなります


2. 挑戦や失敗を極端に恐れるようになる

「失敗したら、親をがっかりさせる」
「結果が出せないと、自分はダメな子だ」

こうした思い込みは、自己肯定感を根本から揺るがします。

→ 挑戦よりも失敗しないことを優先するようになり、可能性が狭まってしまいます。


3. 頑張っても満たされず、モチベーションが続かない

親が喜ぶからやる。褒められたいから頑張る。
その状態では、一時的には結果が出ても、やがて限界がきます。

→ 「自分のためにやっている」感覚がなければ、継続のエネルギーは湧いてこないのです。


4. 親との距離を感じ、心を閉ざす

「なんでも話してね」と言っていても、親の願いや反応に敏感な子どもほど、「否定されそうなこと」を言えなくなっていきます。

親の前では、本当の気持ちを隠すようになります。


解決のカギは「分離ではなく、尊重」

同一化を手放すというと、「子どもと距離を置かなければいけない」と感じるかもしれません。
でもそういうことではありません。

大切なのは、子どもを切り離すことではなく、

「この子はこの子。自分(親)は自分(親)」

と丁寧に見つめることです。


どういうマインドセットが必要か?

子どもの人生は「支えるもの」であって、「導くもの」ではない

→ 進む道を選ぶのは子ども自身です。その道のレールを敷くのではなく、道を照らす灯のような存在になりましょう。

「成功させること」より「生きる力を育てること」を大切に

→ 結果を追いかけるのではなく、試行錯誤する力・気持ちを立て直す力に寄り添うことが、長い目で見て一番の支えになります。

親自身も「自分の人生」に焦点を当てる

→ 子どもだけを見ていると、無意識に子どもへの期待が集中します。
 自分の喜び・挑戦・夢にも目を向けることで、健全な心の余白が生まれます。


おわりに

親が同一化するのは、子どもへの愛が深い証拠だと思っています。
だからこそ、自分と子どもを心理的に丁寧に分けることは、愛情をより健やかに届けるために必要なプロセスなのです。

親御さんが自分自身を生きることで、子どもも「自分らしく生きていい」と思えます。
そんな関係性を、一歩ずつ育てていきましょう。


スポーツメンタルコーチング

スポーツメンタルコーチ 増田良子は主にアスリートの保護者や、子育て中のお母さんたちへのコーチングを、保育士としての経験や脳科学、心理学に基づいて行っています。

増田良子

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